「プロなんだから、バグは一つもなく納品してほしい」
「思っていた挙動と違う。使いにくいから無料で直してよ」
「テストはそっちで全部やっておいて。確認する時間がないので」
システム開発において、発注者側からだされるこれらの要望。
しかし、この「バグゼロ信仰」や「テストの丸投げ」こそが、リリース後の致命的なシステム障害や、終わりの見えない検収作業(プロジェクトの炎上)を引き起こす最大の原因です。
ソフトウェア開発において「バグ」とは何なのか? そして、誰がどうやって防ぐべきなのか。deeptierエンジニアに、「バグやテストに関する冷徹な現実と、正しい向き合い方」を聞きました。
【エンジニアの回答】
ソフトウェアの不具合は「前提(OSやブラウザ)× 操作(ボタンを押す順序)× 環境(通信状況など)」が複雑に絡み合って発生します。これをすべて網羅してテストしようとすると、パターン数は天文学的な数字になります。この全条件をテストするコストをかけて、それ以上の利益を稼ぎ出せる事業は世の中にほぼ存在しません。
【deeptierの技術解】
「バグをゼロにする」を目指すために、ビジネスへの影響度が高い中核機能にテストリソースを集中させ、「どこまでのリスク(軽微なバグ)なら許容してリリースするか」というゴールをお客様と共に設定します。
近年は生成AIによる自動テストの活用により、テスト精度も飛躍的に向上しています。リスクを最小化しつつ、最短で市場に価値を届けるROI(投資対効果)を最大化するアプローチをとります。
【エンジニアの回答】
「使いにくさ」や「コレジャナイ感」は、プログラムのバグではなく、要件定義の時点で発注者の頭の中にあったイメージと、開発側の認識がズレていたこと(仕様の認識齟齬)が原因です。
文字や静止画だけで構成された分厚い仕様書をいくら睨み合っても、人間の直感的な「使いやすさ」は定義できません。
【deeptierの技術解】
詳細な仕様書作りに膨大な時間をかけるのではなく、生成AIなどを活用して迅速に「動くプロトタイプ(試作品)」を作成します。開発の初期段階で実際の画面をお客様に触っていただき、「違和感」を早期に検出するアジャイル的なプロセスを組み込むことで、後戻りの効かない段階での揉め事を防ぎます。
【エンジニアの回答】
開発会社が行う単体・結合テストは、「設計書通りにプログラムが動くか」を確認するものです。しかし、システムが「実際の業務フローに耐えうるか」は別の話です。
すべての業務要件をドキュメントに網羅することは不可能です。要件定義書には書かれていなかった「現場の暗黙の了解」や「潜在的な期待」は、お客様自身が実際の業務を想定してシステムを触る「受入テスト(UAT)」の場で初めて顕在化します。
【deeptierの技術解】
受入テストはお客様の業務として実施していただきますが、弊社では、お客様がスムーズに受入テストを実施できるよう、テストシナリオの作成支援や、テスト環境の整備をサポートします。「一緒に品質を作り上げる」体制をご提供します。
【エンジニアの回答】
最新の生成AIを活用すれば、コードの修正は劇的に速くなります。しかし、ビジネスの暗黙の前提など、すべての情報をAIに完璧に与えきることは不可能なため、人間であれAIであれ、修正による予期せぬ副作用(デグレード)をゼロにはできません。
【deeptierの技術解】
この不完全性を補うのが、「リグレッションテスト(回帰テスト)」の自動化です。弊社では、システムを変更するたびに、過去に動いていた機能が壊れていないかを機械的に検証する仕組みを初期段階で構築します。このテスト自動化への初期投資が、将来の不具合修正コストを劇的に抑え、システムの寿命を延ばします。
【エンジニアの回答】
バグ対応の優先順位は、「緊急性」と「重要性」の2軸、さらに「修正の技術的難易度やリスク」を加味して決定されます。軽微な表示崩れのために、本番環境のサーバーを緊急停止させて修正プログラムを適用することは、かえって二次被害(別の重大なバグの誘発)を生むリスクがあります。
【deeptierの技術解】
万が一本番環境で障害が発生した場合、弊社は迅速に状況を報告します。その上で、「業務回避策(手運用でのカバー)は可能か」「即時修正すべきか、次回の定期メンテナンスに回すか」を、ビジネスと技術の両面からロジカルにご提案します。「何が何でも直す」ではなく「事業の被害を最小限に抑える」ための最適解を共に導き出します。
システム開発における「品質」とは、開発ベンダーだけが魔法のように作り上げるものではありません。
・リスクをどこまで許容するかの投資判断
・プロトタイプによる早期の違和感の共有
・お客様自身による受入テストの実施
これらのお客様の協力があって初めて、真に価値のある、品質の高いシステムが完成します。
弊社は「御用聞き」としてただ言われた通りに作るのではなく、時に耳の痛い現実もお伝えしながら、プロジェクトを成功に導くプロフェッショナルなパートナーでありたいと考えています。
「丸投げして失敗した経験がある」「次は本気で良いシステムを作りたい」とお考えの企業様は、ぜひ弊社にご相談ください。
【deeptierのシステム受託開発】現状の課題やビジネスゴールについて、壁打ちベースからご相談を承ります。
浅野 貴史
株式会社deeptier 技術フェロー
組込みソフトウェア開発からキャリアをスタート。その後、クラウド技術への深化を図り、数千万DL規模のサービス基盤構築やWebサービス開発を主導し、事業成長に貢献するなど、大規模サービス基盤を中心に低レイヤーからクラウドまで横断する技術知見を強みとする。
日本、米国、ドイツの3ヶ国での常駐・開発経験を経て、複数の企業でCTOを歴任。近年は生成AI領域のスペシャリストとして、新規事業開発や企業のDX推進を牽引している。2024年 当社設立時より技術フェロー(非常勤)。
※この記事の技術情報について
本記事は2026年4月時点の一般的な開発情報に基づいて執筆されています。技術トレンドの変化により、推奨されるツールや手法は変わる可能性があります。